私達の未来と政治

コロナと暮らしの危機

新型コロナは、私たちにとって本当に大切なものは何かを見つめ直す機会となりました。食べ物をつくる人、医療やケアに携わる人、荷物を届けてくれる人、食品や日用品を運んだりスーパーで売ったりする人… 彼らがいなければ、私たちの暮らしは成り立ちません。

しかし日本では、こうした人たちは社会の中で厳しい状況に置かれてきました。原発推進や軍備強化、法人税減税、消費増税など、安倍政権・菅政権は大企業を優遇し庶民に冷たい政治を続けてきました。株価が上がり雇用が改善したといわれますが、増えたのは非正規雇用。諸外国に比べて日本だけが平均賃金が下がり続けています。

(東京新聞より)

今の政治の問題点 たとえば・・・

税金:今や消費税は10%。一方で法人税減税や研究開発減税などで大企業の負担は減らされ、格差が広がってきました。中流以下の庶民の税金を減らし、大企業や富裕層など「払える人」からたくさん取る政治への転換が必要です。

仕事:派遣など非正規雇用を増やす政策が行われてきました。以前は通訳など限られた職種でしか認められていなかった派遣が、自民党のリードで法律が変えられ、多くの業種に拡大。いまや働く人の4割が非正規です。派遣を減らすなど、安定した仕事を確保する政策が必要です。

戦争:安倍政権による武器輸出解禁で、戦争ビジネスが日本でも成長しそうです。安保法制によりアメリカが中東などで戦争すれば自衛隊も参加させられるでしょう。

憲法:憲法は本来、政府が好き勝手やらないように国民が政府を縛るための約束事で、この基本原則を「立憲主義」といいます。しかし自民党は、国民を縛る憲法に変えようとしています。自民党の改憲案では、たとえばデモで意見を表明する自由も「公の秩序を乱す」として規制しうるなど国民の自由や人権が制限され、さらに「家族の尊重」「国旗・国歌の尊重」が国民の義務とされます。個人の幸せのために国があるのではなく、国のために個人がいるという考え方です。

 

自民党は変わってしまった

今の自民党中枢は昔とまるで違います。以前は党内に穏健なハト派(経世会、宏池会)と、右翼的なタカ派(清和会、森派)がいて、主流は「保守本流」と呼ばれたハト派でした。しかし今はタカ派が党内を席巻し、閣僚のほとんどが右翼的な「日本会議」という団体に所属しています。

 

日本の政党マッピング

この図は、日本の政党の立ち位置をわかりやすくマッピングしたものです。
◯上に行くほど個人の自由や人権を大切にする政党。下に行くほど国家の都合を優先する政党。
◯右に行くほど新自由主義=市場競争原理主義(企業や個人が自由にビジネスし、自らの能力と努力で競争に勝って豊かになればいい、それができない者は自己責任で苦しんでも仕方ない、という考え方)の政党。左に行くほど、国が社会福祉などで弱者に手厚くする共生社会をめざし、経済成長よりも環境や持続可能性を重視する政党。
◯「立憲野党」と呼ばれる、立憲民主・れいわ・国民民主・共産・社民は、個人の自由や人権を尊重し、市場競争に任せきるのでなく弱者への再配分を厚くしようというリベラルな政党です。一方、自民党は国の都合と経済成長を優先する、国家主義・新自由主義の政党です(「保守政党」を名乗っていますが、社会のよき伝統を守る本来の「保守」とは違い、これまでの経済や民主主義の秩序を破壊しています)。

かながわ市民連絡会は、立憲主義を掲げ、個人の自由や人権を大切にし、自己責任の競争社会から人に優しい共生社会への転換をめざす立憲野党5党(立憲民主、共産、れいわ、社民、国民民主)と市民の共闘で、政治の流れを変えることをめざします。

なお野党共闘の際の共通政策として、市民連合が立憲野党各党に提出した15項目の要望書があります。

 


各政党の特徴

<与党と 連携勢力>


自民党(総裁・菅義偉)(公式HP

タカ派・日本会議が党内を席巻する、保守というより右翼政党。戦前のように「個人」より「国の都合」が優先される国をめざしているほか、法人税減税や武器輸出など大企業が求める政策を推進。菅首相は「2050年脱炭素社会実現」を表明しているが、原発推進のためではないかという疑念も呼んでいる。

 

公明党(代表・山口那津男)(公式HP

創価学会という、仏教(日蓮宗)系の宗教団体が支持母体。創価学会は戦前は政府に弾圧された歴史を持ち、公明党はかつて「平和の党」を自任してきたが、今では自民党とともに安保法や秘密保護法などの成立に加担している。創価学会は全国に組織があり選挙でフル回転するため、自民党にとっては頼れる存在。公明党の人たちは「自分たちが自民党のブレーキ役になっている」と言うが、公明党の支えがなければ自民党は政権を維持できないのも現実。

 


日本維新の会(代表・松井一郎)(公式HP

2016年8月、おおさか維新の会が党名変更。野党ですが改憲や安保法など政策は自民党に近く、新自由主義的な「改革」を掲げる政党。2020年、こだわってきた「大阪都構想」の住民投票が否決された。

 

 

<立憲野党勢力>

以下の4野党は、協力して政権交代をめざしています。(※立憲とは、憲法に基づいた政治を行うこと)

 

立憲民主党(代表・枝野幸男)(公式HP

野党第一党。立憲主義に基づく民主政治を守り育て、個人の自由や国民の暮らしの充実、地方分権などを重んじ、脱原発を掲げている。改憲には慎重なリベラルな議員が多く、「新自由主義からの決別」を宣言している。

 

共産党(日本共産党)(委員長・志位和夫)(公式HP

戦前、戦争に反対した唯一の政党だが、今は「共産主義革命」をめざしているわけではなく、憲法を尊重し自衛隊や天皇制も認める現実主義のリベラルな政党になっている。年長世代にはアレルギーがある人もいるが、大企業や国家でなく庶民の側に立ち、平和憲法を守り、非正規など貧困・格差問題に取り組む姿勢は貴重。最近は若者層にも支持が広がっており、今の「野党共闘」の流れを作り出した。

れいわ新選組(代表・山本太郎)(公式HP)

2019年に山本太郎氏が設立した、新しい政党。その年の参院選で、 重度身体障害者や性的少数者、派遣労働者などの「当事者」候補を立てるなどユニークな選挙戦を展開。身障者である木村英子氏・舩後靖彦氏の2名が当選した。

社民党(社会民主党)(党首・福島瑞穂)(公式HP

昔、野党第一党だった社会党の流れを組む政党。政策的には共産党に近いですが、最近の国政選挙では奮わない。2020年11月には一部議員が立憲民主党に合流したが、地方議会には一定の勢力がある。

 

国民民主党(代表・玉木雄一郎)(公式HP

2020年に旧・国民民主党が、立憲民主党と国民民主党に分党した。「穏健保守からリベラルまでを包摂する国民が主役の改革中道政党」を掲げる立憲野党だが、自民党に近い考え方の議員もおり、共産党との連携に抵抗感が強い。